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祭の馬 [2013年]

東京フィルメックスで上映されていたドキュメンタリー作品。
祭の馬。これはしびれた。
知り合いのカメラマンさんもスタッフで関わっていたのをクレジットで知った。
通りで、会場にいたはずだぁ。

福島県相馬市に住む馬のお話。
相馬野馬追」という歴史深いイベントが相馬市で行われていることを知らなかった。
とても立派なお祭りなのね。
「相馬」という土地にも「馬」の文字があることから昔から馬と共存してきたのだと
想像がつくね。


原発から20kmの距離にある相馬市。
そこで生きてきた馬たち。
3.11の津波に耐えて数頭は残っていた。
そんな辛い映像から入っていく訳で。
後、危険地域に指定され馬を置いていかなくてはならなくなった。
厩舎主はありったけのエサを置きてきた。

そして二週間後行くと、それでも数頭生き残っていた。。。
その中の一頭が主人公ミラーズクエスト。


パンフレットとは裏腹に、とても重みのあるお話です。
未曾有な事故、あの日から現在に至る彼らの生き方を見ました。

上映後監督も説明されていたけど、前半は
報道ドキュメンタリー風で淡々とカットが続いていく作風だったのに対し、
後半は監督の情を感じるなめらかな仕上がりになっていたような気がした。

馬の生き様。
厩舎の方の想い。

一番引っかかった言葉は、「津波を経験した馬は、角がたってるな。」
角?だったか自信がないけど、気が立ってるようなことを言っていた。
怯えて気性が荒くなっているようで、お祭りで人がうまく乗り越せるのかな?とも思えた。
そうだよね、馬だってさ、あんな津波がきて、鎖でつながれていてさ、
逃げられなくて耐えるだけで、記憶に残るよね。
想像するだけで泣けてくる。。。
人間だってそう、馬だってそうだ。



監督がすごく考えているなぁと思ったのは、
作品に使われている曲なんだけど、すべて原発に関する彼の記憶に基づいた曲をselectしていること。だから私たちには説明をされないと理解できないんだけど、
世界を旅してきて、たとえば中国が核実験を行なっている内モンゴルとかを訪れた時に
向かう車中で聞いていたその土地の音楽を採用していたり。。。
そういうのっていいselectだよね。


そして、リーフレットにも載っていたキャッチーな言葉についても。
監督の中で、被爆するとこれから生まれてくる子供にも影響がでるかもしれないということが頭にあって、生殖器というものがとても重要な気がしたと説明されていた。
そうだ。そのとおりだ。
とても丁寧にその思いを説明してくれて、納得がいったというか。。。
(作品中でそれがわかると尚よいのかもしれないけど。。。)



作品もよかったんだけど、監督の説明する姿勢が大変見ていてうれしくなる作家さんだなぁと思ったのでした。


この厩舎にいる馬たちはもともとは、競走馬。
あまり勝ちがなかったり、ケガをしていたりする馬達はここで飼育される。
その後相馬野馬追に出たりする。その後は、食卓へと。

私が美味しいと食べている馬刺しは、大抵が競走馬だということも学びました。
この作品以来、「(命を)いただきます」食事の前に丁寧に言うようになりました。

主人公のミラーズクエストは4戦0勝にて競走馬であり、津波を生き延び、
局部にばい菌が入り、腫れれ上がっていても持ちこたえ、お祭りにでて、
元にいた相馬の厩舎で息を引き取った。


私は忘れないミラーズクエストを。そして何頭も亡くなった馬たちのことを。




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松林要樹監督
日本 2013年

http://matsurinouma.com/
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