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ルルドの泉で [2009年]

実は観ようと思って観た作品ではないのです(ごめんなさい!)
が、深夜に2度も観てしまった作品なのでした。
なぜか数カット強烈に覚えていて、結果どういうことなのか?何が起きているのか?
1度目は理解していなかったんですね。
2度目に見続けてしまったのは、そこをしっかり判断したいと思ったからなのでした。


<ルルドについてすごく簡単に調べてみた>
世界最大の聖地ルルドに世界から奇跡を求めて人々が集まってくる。。
ルルドはフランスとスペインの国境ピレネー山脈の麓にあるピレネー県の人口15000人程の小さい街。
ピレネー山脈は巡礼の道として有名。

1858年2月11日、14才になるベルナデット・スビルーさんという女の子は
ここルルドで奇跡的な体験をしたようです。
川をわたるときに、「風の音のようなものを聞き、」そして洞窟の右側のくぼみに視線を向けると
「柔らかい光に包まれ、白い服を着て青い帯をした若く美しい女性」が見えたというもの。
そして、その女性は金色の雲に包まれ消えたようです。
いわゆる、その女性は聖母マリア様なのです。
後、18回出現したと言われています。
ということで、そこで湧いている泉は数々の難病を治す「奇跡の泉」となっているとのこと。
又ベルナデット自身も死後に死体が腐敗しないという奇跡を起こし、キリスト教公認の聖人と扱われているようですね。

更に、今年になりますが2003年6月のニュースではこの泉が閉鎖されたようです。
洞窟内が1.4mの高さまで浸水してしまったようですね。


すごくはしよりましたが、そういうことで奇跡が起きる!ということになったんでしょう。
この話を調べていて実はベルナデットが聖母マリアだったりしないのかしら?とか思ったりして。。。^^
この作品はそんな奇跡の泉の周りで静かに巻き起こる人間模様を淡々と綴っていくストーリーとなっています。

劇的な奇跡が目の前で起きたらそれはそれでハリウッド的なフィクションで終わるのですが、
さすがヨーロッパの作品。
いいことばかりでは終わらないエンディングで、若干「ムムムー」と唸るのです。


みんな何かしら気になるところ良くなりたい部分があって、その重さは人とは比較はできない。
自分こそ奇跡が起きるはず!と信じてこの泉にくるのだけれど、
その中でも主人公の彼女だけが一瞬奇跡を起こした。
それはそうれで「なぜ彼女だけ?」という妬みが見え隠れする。

献身的に働くシスターの中にも、奇跡を信じて自分の病気を治したいと願う人もいたりして。
それを隠している様が又切なくて。
ちょっとだけ見ていても人間のいろんな感情が見えてくる。

そこで働く神父?さんたちも、この奇跡を理解しているようでそうでもない、
そんなやり取りが繰り広げられている。
「信じる者は救われる。」
年末に繁華街で騒がしくなる、それとそんなに変わらないのではないか?そんな印象を受ける。

奇跡にさわさわしている人たちに対して、科学的医療が出てくる訳だが、
おじいちゃん先生は唯一冷静だったかな?とも思える。
お医者さんの診断は、引き締める意味でも重要な役割だったのかもな。


ストーリーはこういった人間模様で進んでいくのだけれど、、、

一体奇跡とはなんだろう?
そのルルドの泉が奇跡を起こす泉なのか?
この作品を通して、そんなことを考えてしまった。
奇跡を起こすのは、泉じゃなくて、自分ではないか?
だから、主演のシルビー・テステューさん演じるクリスティーヌが一瞬でも立てたのも、
彼女の強い願いや意志からなのかも。と思ってしまった。


クリスティーヌはとても印象的でした。
赤い帽子がより印象深くさせてます。
2013年完成した、アニエスベーの長編監督作品に出演しているのを観て、またちょっと好きになりました。




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2009年 オーストリア・フランス・ドイツ
ジェシカ・ハウスナー監督

http://lourdes-izumi.com/
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id340919/
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冬の小鳥 [2009年]

エンディングたるは、見事なものだった。
激しく嗚咽し、先のわからない未来を如何に良い方向へと考えられる術を取り上げられてしまったようだった。

ジニ(キム・セロン)は、芦田愛菜ちゃんを圧倒する程の演技だ。
前半の愛らしい微笑みを見せつけられてしまうと、後半に行くに従って
ボディーブローを受ける様にじょじょに苦しさが増して行く。

このタッチはアジアでは表現しにくい感じだと思ったらフランスが関係していた。
そう欧米に通じるタッチ。

彼女はお父さんの都合により孤児院に連れて行かれるのだ。
当日にかってもらったよそ行きの洋服をずーっと脱がずにいる。
すぐにお父さんが引き取りに来てくれると信じて。

そこで出会う子供たちとの生活を序盤映し出して行くのだけれど、
孤児院での生活の中でも遊びを見つけ出し、日常としていく。

年齢を重ねると引き取られにくいことも子供たちは知っており、
月経を迎えた事をひた隠しにする子供や、

恋だってするけど、それが実らず、現実を知ってそれが幸せとは限らないが
引き取られて行く子供、

子供だけれど、覚めた大人の感情を持ち合わせてしまう辛い環境だ。


怪我をした小鳥の世話を内緒でしていたが、いつしか死んでしまう。
これが、このタイトルにもなったと思われるが、
主人公ジニは、やっぱり家に帰りたいとお父さんに連絡してくれとせがむ。
住所を暗記しているのだ。
院長がしぶしぶ連絡するともうすでにお父さんはそこにはいないのだ。
かすかにつなぎ止めた一本の糸が切れてしまうことから、
ジニが死んだ小鳥を埋めたところを堀り、自ら土の中に埋まってみる。

私は、いらない。

そんな感情の元起こした行動。
こんなこと考えられない。
脚本家や監督は、実体験があったのだろうか?
子供の無邪気な判断は切れ味のいいナイフのようだ。
顔にまで土をかぶせるあの演出、きつかった。

親に見放された子供はそこまで追いやられているのだ。

ジニの友達だった子供も引き取られ、自分もこれからを生きるために
スイッチが切り替わる。

そしてエンディング。
なぜ、1人で飛行機に乗らせ、異国の空港で待ち合わせなのか?

1人で飛行機に乗せれるほどではない年なのに、
引き取り手のいる国フランスへ向かうのだ。

その表情は、人に取って受け取り方が違うのだとは思うが、
私には、厳しくたくましく、何かの意志を殺して、不安げにさせるのだ。



彼女の心の変化を、変化しているシーンがぶっきらぼうに展開することで、
孤児院での日常がたんたんと送られている事も想像できるし、
見る側にとってみればそれらをつなぎ止める心情が追加され
どんどん作品に飲み込まれて行く様に思う。

強い気持ち、弱い気持ち、心細い気持ち、楽しい気持ち
恋する気持ち、恥ずかしい気持ち、怒る気持ち、、、
裏切られた気持ち、、、
いろんな気持ちが伝わってくる。

どうやったってこの映画をみている最中、
私はジニの視点になってみてしまう。
まだまだ子供ということなのか?




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ウニー・ルコント監督
フランス・韓国 2009年

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id337294/
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ミックマック [2009年]

「アメリ」を撮った監督さんの映画。
世界平和の為に戦ういたずら好きな仲間たち!
父親を地雷でなくし自分も流れ弾の銃弾が頭に残ったままという、主人公。
武器を作る会社のトップを(やってることはいたずらで)ぎゃふんと言わせ、
結局は武器を作るな!という強いメッセージ。
フランス映画独特の乾いた展開で、メッセージははっきりしてる。
ユーモアもたっぷりで館内が笑いに包まれる映画って久しぶりだった。

カットカットのつなぎが独特な世界感。
異物をつなぎ合わせ、滑らかとは正反対のつなぎというのか
出来事の結末だけをすぱすぱつなぎ合わせる。
ここが馴染みやすい人とそうでない人に別れるのかもしれないけど、
このテンポにはまるとフランス映画は癖になるからおもしろい。

画の質感が濃ゆいのが好きだ。
コントラストが強いのか、色彩がぐっと落ち着いて見えるのは、カメラなのか?
これを編集で作るあげる事ができるか検討したいな。出来ると思う。

秘密のお家で訳ありの仲間が集まってそれぞれの個性を尊重し共に行きていくのは、
移民が少ない日本に住む私からすると一種の憧れに似た感じがした。
特技を活かして、協力し合い、生活している。
それぞれの過去というか特徴があって、わかってはいるけど労り合っているんだ。

いたずらで世界平和。
世界中のほとんどの人はこんな世界を待っているはずだよね。

久しぶりのフィクション。
どっぷり楽しませてもらっちゃった!


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ジャン=ピエール•ジュネ監督 
2009年 フランス

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336264/
http://www.micmacs.jp/
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ナイト•トーキョー・デイ [2009年]

観終わった感想としては、好きなタイプの映画。
ちょこちょこしたユニークさ、女性が描くエロさ、詩的な感じ。

珍しく観る前に気になったのが、
まず、舞踏家の田中泯さんがでていること。笑
先日お会いした中原丈雄さんが出ていること。笑
コイシェ監督のことは友人がこの映画に参加していたので事前にこの映画の事を知っていた事だ。

孤独な大人のラブストーリーだなって思った。HPにもそっくりそのままかいてあったけど。笑
主人公の菊池輪子さんは築地に勤めながら、殺し屋。
まぁ、フィクションなのだからいいのだけれど、この設定も興味深いが、
殺し屋抜かしてもいいストーリーなのじゃないかな?と思ったりして。

コイシェ監督からみる東京はこんなイメージなんだな〜と
観ている時から思っていた。
「ハラキリ」とか「女体盛り」とか、、、
東京に住む私は今まで生きてきてハラキリの話を誰かとした事も亡いし、
女体盛りでお刺身を食べた事もないのだけれど、彼女の中にはあるということが
かなり愉快だ。
それにロケ地も、浅草や新宿、築地といった海外観光ブックに載っている場所である。

そういうことがわかるだけでも興味深い。

又、教習所内での教官通しの小競り合いや、植木、大福、奇妙な団体、、
ちょこっとしたところで、ユニークな笑える部分を作っているところがおかしいのだ。

殺し屋だけに、エンディングはこうなってしまったか、と思ったけど、
やっぱり殺し屋の設定なしでも大満足な映画かも。

誰かに感情移入していくということはないので少し距離を置いてみていられる映画。
ただ恋愛シーンはちょっと見物かも。

ロケ地になったラブホテルなんだけど、電車のセットが組まれている部屋だった。
あれは作り物?本当にある場所だったらちょっと行ってみたい気もするよ。

シーンの展開がばっさばっさ淡々に進んでいく感じは日本にはないよね。
おもしろい映画だった。



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イザベル・コイシェ監督
2009年 スペイン

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id337427/
http://www.night-tokyo-day.jp/

ペルシャ猫を誰も知らない [2009年]

大体映画は、リーフレットで観るか決めるんだけれど、
これは相棒もおもしろそうだよと珍しく言ってきたので、
柄にもなく前売り買ってみた。

前売り買うと逆に安心して忘れてしまい、
上映終わり間際になって慌てて、観に行ってきた。

しかも、嫌な予感がするなと思ったら案の定、気絶してしまった。
ほぼ寝てしまいました。
がーん。

カンヌである視点部門特別賞を受賞した作品だったのに。
でもわずかな時間だけど記憶にあるところの感想を残してみよう。

イランという国での実情がよくわかる映画だったということ。
ロック、ヘヴィメタルといった洋楽の規制が厳しく、音楽をやっていると
警察に捕まったりするのだ。
その中でも、若者たちは、好きな音楽を隠れてやっているのだが、
その中のエピソードで笑ったのが、
牛小屋でバンドの練習をしているので、牛の飼い主が
「変な音楽を毎日聞かせているからお乳がでなくなった。」と証言しているところや、肝炎になってしまったというエピソード。

ビルの屋上で自ら作ったスタジオでひっそり練習しているが、
停電になり、理由を調べるとお父さんがブレーカーを落としてしまったとか、、、

工事中のビルの上で自分のPVを撮影しているあのバンドの曲は活かしてたな。


ゲリラ的に撮影したということだから、これは事実なんだろう。
イランの実情をしることがなかったので、こんなに都会であり、
こんなに自由がない生活であることがわかる映画だった。

それぞれのバンドが出て来ると彼らのPVの様なシーンになる。
ややそこに退屈感を感じてしまうが、
彼らの音楽を聞いているとイラン風な曲に仕上がっており、
それを聞いているのは心地よかったかも。


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バフマン・ゴバディ監督
2009年 イラン

http://persian-neko.com/
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336971/

何も変えてはならない [2009年]

いい映画に会えたな。

フランス人の女優ジャンヌ・バリバールさんの歌手活動を追った音楽ドキュメンタリー。
音楽ドキュメンタリーは何本か観たけど、
音楽と自分について、ライブに向けて、メンバーがいればメンバーについてのインタビュー、
自らの音楽に乗せてかっこ良く、いわば長編PVのようなものがほとんど。
好きなアーティストだったら、長編PV観ていても好きな音楽流して聞いていたっていいんだと思うが、それとは一線を画す音楽ドキュメンタリーになっていた。

さすがペドロ・コスタ監督とうなってしまった。


ひたすらスタジオでのレコーディング風景、コンサートの歌のレッスンをモノクロで追っている。

圧倒的だったのは、映像美。
モノクロだけに光と影からなるスクリーンにはうっとり。
かつての映画でみた様なライティング。
とても立体的に映し出される点。

そして、彼女の練習風景だが、
ゼロから完全に映している点。
テンポに馴染めずひたすらリズムの練習シーンや、
そこから徐々にギター、ドラム、ベースなどが入っていく流れは
スタジオに自分がいて一緒にレコーディングしているような時間軸。

実際のレコーディングではスタジオ内には音楽は流れない、
音楽はヘッドフォンからしか聞こえないわけだから、
スタジオ内な無音の中、彼女の歌声だけが響く。

アーティストが音と出会い奏でていくのは、
じっくり固定で置かれたカメラアングルからも想像しやすい。

通常だと音楽に乗せてかぶせて編集してしまうところ、一緒に出来上がりを体験できる。
誠実に、まじめに、そして感覚的に音に対して向き合う彼女がわかる。
そして、監督も又彼の他のドキュメンタリーと同様、被写体と空間を共有し
腰を据えて相手を見ていることも同時にわかる。

最近又映画っていいなって思ったところに、ドキュメンタリーっていいなって思った。

表現は無限だな。


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ベドロ・コスタ監督
2009年 ポルトガル/フランス

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336789/
http://www.cinematrix.jp/nechangerien/

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