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何も変えてはならない [2009年]

いい映画に会えたな。

フランス人の女優ジャンヌ・バリバールさんの歌手活動を追った音楽ドキュメンタリー。
音楽ドキュメンタリーは何本か観たけど、
音楽と自分について、ライブに向けて、メンバーがいればメンバーについてのインタビュー、
自らの音楽に乗せてかっこ良く、いわば長編PVのようなものがほとんど。
好きなアーティストだったら、長編PV観ていても好きな音楽流して聞いていたっていいんだと思うが、それとは一線を画す音楽ドキュメンタリーになっていた。

さすがペドロ・コスタ監督とうなってしまった。


ひたすらスタジオでのレコーディング風景、コンサートの歌のレッスンをモノクロで追っている。

圧倒的だったのは、映像美。
モノクロだけに光と影からなるスクリーンにはうっとり。
かつての映画でみた様なライティング。
とても立体的に映し出される点。

そして、彼女の練習風景だが、
ゼロから完全に映している点。
テンポに馴染めずひたすらリズムの練習シーンや、
そこから徐々にギター、ドラム、ベースなどが入っていく流れは
スタジオに自分がいて一緒にレコーディングしているような時間軸。

実際のレコーディングではスタジオ内には音楽は流れない、
音楽はヘッドフォンからしか聞こえないわけだから、
スタジオ内な無音の中、彼女の歌声だけが響く。

アーティストが音と出会い奏でていくのは、
じっくり固定で置かれたカメラアングルからも想像しやすい。

通常だと音楽に乗せてかぶせて編集してしまうところ、一緒に出来上がりを体験できる。
誠実に、まじめに、そして感覚的に音に対して向き合う彼女がわかる。
そして、監督も又彼の他のドキュメンタリーと同様、被写体と空間を共有し
腰を据えて相手を見ていることも同時にわかる。

最近又映画っていいなって思ったところに、ドキュメンタリーっていいなって思った。

表現は無限だな。


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ベドロ・コスタ監督
2009年 ポルトガル/フランス

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336789/
http://www.cinematrix.jp/nechangerien/
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